横断歩道の白と黒の間

セクシュアルマイノリティの人が書くブログ

芸能人のアウティング問題

記事供養中です。

随分前の話題ですが。

疑惑

本当かどうか、不正があるのではないかなどと疑いをもつこと。また、その気持ち。疑い。「疑惑の目で見る」「疑惑を招く言動」「疑惑が晴れる」

 ぎわく【疑惑】の意味 - goo国語辞書

 

 

 

事の発端

12月2日、成宮寛貴さんが、週刊誌へのたれ込みから、疑惑をもたれた。

薬物使用疑惑。

正当な検査をして、薬物を使用した客観的事実はないと判断された。

けれど。

12月9日、彼は、引退を表明した。

以下、彼の表明文である。

全ての原因を作ったのは自分自身だと承知しております。

心から信頼していた友人に裏切られ複数の人たちが仕掛けた罠に落ちてしまいました。

この仕事をする上で人には絶対に知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい、このまま間違った情報が拡がり続けることに言葉では言い表せないような不安と恐怖と絶望感に押しつぶされそうです 。

今後これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に暴露され続けるとおもうと、自分にはもう耐えられそうにもありません。

今すぐこの芸能界から消えてなくなりたい。

今後 芸能界の表舞台に立つ仕事を続けていき関係者や身内にこれ以上の迷惑を掛ける訳にはいかない。

少しでも早く芸能界から去るしか方法はありません。

元々何もない自分をここまで育ててくださった関係者の皆様本当にありがとうございました。

応援してくださったファンの皆様、こんな形で去っていく自分を許してください。

本当にごめんなさい。そして、ありがとうございました。

2016.12.8 成宮寛貴

http://www.oricon.co.jp/news/2082825/photo/2/

 

この問題の事実は何なのか。それを僕は、知る由もない。

 

クローズアップ

ただ、この表明文の中で、どうしても気になることがある。

この仕事をする上で人には絶対に知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい、このまま間違った情報が拡がり続けることに言葉では言い表せないような不安と恐怖と絶望感に押しつぶされそうです 。

 

彼は幾度となく「ゲイ疑惑」と称して、週刊誌に槍玉に挙げられている。今回、件の週刊誌にもそれについては触れてあるようだ。僕はそれを読んでないのでわからないのだが。

 

こんな記事を見つけた。

 

www.excite.co.jp

 

これが事実だとしたら、このゲイバーのママは新品の靴でゲロ踏んだ上に、お気に入りの服に鳥の糞を落とされて、土砂降りの雨に降られて財布をなくせば良い。

 

彼が、セクシュアルマイノリティであるかどうかは、わからない。けれど、仮にそうだったとして、そんなことをいけしゃしゃとどこの誰かもわからない奴に話して良いことではない事を、ゲイバーのママは自分の人生の中で、嫌というほど経験して来たはずだ。

 

アウティングとは、

本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向性自認を暴露する行為のことである。

アウティング - Wikipedia

 

例えば「マツコデラックスって、ゲイなんだって」と、テレビで誰かが言ったとしてもそれはアウティングにはならない。

なぜなら、彼自身、ゲイであると公言しているからだ。

 

仮に、成宮氏がこのママにカミングアウトしていたとしよう。しかし、それは決して誰にも言ってはならない。公にしたのではなく、特定の人物に秘密を打ち明けただけなのだから。

 

秘密を打ち明けることと、公言は違う。

小学生の頃、誰々が好きとたった一人に打ち明けたとしよう。親友だと思っていた仲の良い友人に。ここまでは特定の人物に秘密を打ち明けたことになる。

しかし、次の日には、それが学校中に広まっている。なんなら、近所中のおばちゃんまでもが知っている。これはアウティングだ。*1

 

さらに悪意を感じるのが、この記事が事実なら彼自身から聞いたのではなく「みんながそう思っていること」でしかないことをまるで事実かのように語っているのである。

このようにゲイバーのママが話したかどうかは定かではない。故に、もしかしたらこのゲイバーのママも被害者かも知れない。

 

男として生まれ男として生き、女性を愛する人や、女として生まれ女として生き、男性を愛する人には到底理解することは難しい。しかしこれは由々しき問題なのだ。

気軽にホモ*2などと笑い話にすれば、どこかで誰かが死ぬ。大げさのように聞こえるかもしれない。

しかし、あながち大げさでもない。

www.jiji.com

 

この件に関しては、何が正解かは、一言で語れるほど単純なものではない。

 

同性愛に対する公序良俗

 

けれど、もういい加減、気がついたらどうだろうか。

 

ネタにして良いことではないことを。

悪いことを何一つしていないのにも関わらず「疑惑」などとおもしろがって良いことではないことを。

ゲイは悪い事じゃないんだから堂々としていろと、強く生きることを強要していることを。

ただ、一人の人間であるということを。

 

誰もが、一度は誰かの心ない言葉で傷ついた経験があるだろう。

そしてそれを誰かに慰めてもらったり、癒してもらった経験があるだろう。

もしも。

その傷を誰に見せることもなく、ずっと内側に秘めたまま、慰められることも、癒えることもなく傷だけがただただ増えていたとしたら。

それでもあなたは。

 

いじめられっこがその傷を背負ったまま、強く生きることを強要されるのと同じように

ただ好きなものを好きというだけで咎められるヲタクのように

結婚していないというだけで人間失格のような扱いと同じように

 

ただ、生きているだけなのに。

 

一人の人間として。

 

もしも。あなたにとって同性愛が変態だと思うならば。異性愛だって、ただの変態ですから、何の問題もないけれど、それを理由に糾弾される謂れはないのでは。

もしもあなたにとって同性愛が病気だと思うならば。そうであるエビデンスを出していただこうか。

もしもあなたにとって同性愛が異常だと思うならば。大丈夫、同性愛者から見たらそう思うあなたが異常である。

生物の進化論に言及するのは、せめてググってからにしてくださいね。その使い古されたコピペはもうお腹いっぱいです。

 

終わりに

僕は、「溺れる魚」に彼が出ているのを見てから、とても好きな俳優さんです。

彼のセクシュアリティが何であるかということを槍玉に挙げたい訳じゃありません。

彼がゲイなのか、なんなのか、それは重要じゃないんです。彼が自分のセクシュアリティをどう思っているか、そしてそれを明かすか明かさないかは彼自身が決めることです。ここでそれをどうこう言いたいのではありません。

そもそも彼はゲイでもバイでもない、もしくはそれ以外の何かである可能性だって大いにある。

彼が何者であれ、彼を貶めた人間がたくさんいて、それに不安と恐怖と絶望を感じている彼がいて、これまで必死に努力し真っ当に生きて来た人生をズタボロにされたわけです。

 

彼の引退表明文の中に、一言も薬物疑惑に関しての言及がない事に違和感がありました。

 

これから先、おもしろ可笑しく書かれるであろう彼のことについて、わざわざ僕がこうして記事を書いてしまうことは、矛盾しているように思えるのですが、(仮に彼がセクシュアルマイノリティだったとして)セクシュアルマイノリティが堂々と生きられないことを、彼らの責任にするのは、少し疑問を感じたのです。

 

そもそもゲイなどのセクシュアルマイノリティが堂々と生きられるような社会なのでしょうか。堂々と生きている人もいる。けれど致命傷になる人もいる。誰もが強く生きられるわけじゃない。

それはゲイやバイという性的指向を持つ人だけじゃなく、誰だって同じ。

誰もが生きやすい社会であるべきならば、それが致命傷になるセクシュアルマイノリティに寛容であっても良いのではないでしょうか。そもそも寛容であったなら、致命傷にならずに済むんですが。

 

最後に、これを引用して終わりにします。

 

d.hatena.ne.jp

 

*1:wikiではLGBTに限られているが、僕個人としてはこれもアウティングの一種だととらえている。

*2:ホモは差別用語です。便宜上使用しました。ごめんなさい